2010年9月16日木曜日

vol.308 宮本輝著「オレンジの壺」を読んで

 ツーリング・レポート「東海・旅の足跡」をお読みいただき、ありがとうございます。

 今日、書店の棚に宮本輝著『新装版 オレンジの壺』(講談社文庫)の上下巻が発売されて、平積みされているのを目にした。今から10年以上前(調べたところ、どうやら正確には93年で、17年前)、同書の単行本(光文社)が出たときに、1冊を4時間ほどかけて、2日間で読んだ記憶がある。
 僕は生来、長編小説を読むのは苦手だ。宮本輝の長編小説では、同じく20代の頃に『青が散る』を読んだこともあった。しかし、歳を経るにつれて、そうした傾向がますます強くなっていく。そんな中で、『オレンジの壺』はどうにか読み進むことが出来たことから、印象深い作品のひとつであった。
 今回、再び本を手にして、ページを少しめくってみた。不幸な身の上の女性が主人公で…、といったくらいで、内容をほとんど覚えておらず、愕然とさせられた。つまり、本を読んだという記憶だけが鮮明に残っているのだ。そして、『オレンジの壺』は面白い本には違いないはずが、今、読み直したいとも思わない。
 どんな一切のことも、時が過ぎ去ってしまえば、ただの懐かしい記憶になるだけなのだ、ということを改めて感じたのだった。

 「東海・旅の足跡」は東海地区で発売されている月刊誌『バイクガイド』に連載中のツーリング・レポートです。ご一読いただき、ご感想をお寄せいただければ幸いです。

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